お店のホームページを導入したい、個人で副業用のブログを開設したい!など、個人や店舗で利用する場合に、最も利用されているのがレンタルサーバーです。
ホームページを作り、ドメインを設定し、月額費用を支払いFTPソフトでアップロードしたら公開できます。2008年の話ですが、私も初めてホームページを公開するのに、ホームページビルダーとホームページビルダーの解説本を購入し、レンタルサーバーを借りてアップした記憶があります。
そんなレンタルサーバーですが、今はレンタルサーバーだけではなく、多くの種類のサーバーが存在します。
中にはレンタルサーバーよりも幅広い範囲で利用できるものもあります。
具体的に分けてみると4種類のサーバーサービスがあり
- レンタルサーバー(共有)
- レンタルサーバー(専用)
- VPS
- クラウドサーバー
これらに分類されます。
基本的に、ブログを開設したい、お店のホームページを作りたいといった利用方法であれば、最も低価格で利用できるレンタルサーバーで十分ですが、それぞれ特徴があり、メリット・デメリットというものがあります。
本記事は4種類のサーバーを解説し各サーバーサービスに向いている人、そうでない人を詳しく解説していきます。
私は副業でブログを初めてみたいのですが、どのサーバーを使ったら良いのか、よくわかりません。
そうですね。それでは、それぞれのできることとどんな人が向いているのか、解説していきますね。
共有サーバーとは
一般的にレンタルサーバーと言うと、共有サーバーを指します。
一台のサーバーを複数人で共有して使用します。
一台のサーバーのディスクやメモリ、CPUなどを共有して使うため、通信容量などは厳しく制限されています。
物理的に一台のサーバーによる運用なので、サーバー内の一つのサイトにアクセスが多くなると、自身のサイトも表示が遅くなるなどの影響を、大きく受けてしまうことがあります。
うーん。難しいですね。一つのサーバーをたくさんの人で共有するんですね。
そうですね。イメージしやすいように建物に例えてみましょう!
共有サーバーを建物に例えると、一つの家に複数人で住むシェアハウスのようなものです。家賃は安いのですが、共同生活のためルールは厳しく決まっています。
それぞれに個室は与えられますが、キッチン、トイレは共同で、ルールを乱す住人がいると、他の人の生活にも影響を与えます。
なるほど!シェアハウスは家賃が安い分、決まりがあったり、同居人に気を使ったり、自由度が少ない部分もあるということですね。
そうですね。シェアハウスは、最初から住むための設備も整っているので、入居したらすぐに生活できますよね。共有サーバーも同じように、すぐにサイトの公開ができてしまいます。ただしシェアハウスでは、家を自由に作り変えられないように、共有サーバーも自由な設定の変更はできません。
共有サーバーでどんなことができる?
共有サーバーの費用は低額で、月額100円程度から利用できる業者もあります。おおよその相場は、月額1000~2000円程度です。
共有サーバーは、最初からサーバーに必要なOSやメモリなどのアプリケーションは整えられているので、契約後はすぐに利用できるようになっています。HTMLファイルを設置すると、すぐにWEBサイトが公開されます。
サーバーの設定や管理、メンテナンスも業者が行うので、サーバー運用に関する専門的知識は不要です。セキュリティ対策も行ってくれるので、初心者でも安全なサーバー運用が可能です。
1台のサーバーを共有しているので、他のユーザーの影響を受けてしまうことがあります。例えば、同じサーバー内にアクセスが多いサイトがあると、メモリやCPUを多く使ってしまうので、他のサイトの表示速度が遅くなるなど、不具合が起こる可能性があります。最悪の場合はサーバーダウンの恐れもあります。
メモリやCPUは共有なので、メモリやプログラムのタイムアウトには厳しい制限がかけられています。制限を超えるような場合は、アカウント停止になる可能性もあります。
共有サーバーには使える容量によってプランを選べることもあります。容量をたくさん使いたい場合は、大容量のプランを選んでも良いでしょう。ただし業者によっては、突発的なアクセス増加などに合わせた急な変更には対応できません。
サーバーの管理権限(root権限)がないので、自由にアプリケーションは入れられません。あらかじめ決められたOSやアプリケーションを使うことになります。OSやアプリケーションは、古いバージョンのことも良くあります。またストレージはHDDが主流で、より高速なSDDは選択できない場合が多いです。
1台のサーバーを共有で使用するため、他と比べるとセキュリティが比較的弱いと言えます。
専用サーバーとは
専用サーバーは1台の物理的なサーバーを、丸ごと専用として使えるものです。ハイスペックなので、法人やビジネスでの運用に選ばれることが多いです。
容量の制限がほとんどなく、好きなアプリケーションやOSを使えるので、かなり自由に運用出来る利点は大きいです。
マネージドプランの場合は、設定や管理は業者が行ってくれるのですが、管理権限(root権限)がなくなるので、設定の変更などに制限が加えられます。
専用サーバーは一人でサーバー1台をまるまる使えるんですね。
そうですね。専用サーバーを建物に例えると、一戸建ての家に住むようなイメージです。家を建てる時には自由に間取りの変更が可能で、改装も自由です。
一戸建てですか?自分ひとりの家は、自由なので良いですね!専用サーバーが使ってみたくなりました。
ちょっと待って!ただし、専用サーバーを使うには、専門的な知識が必要です。設定や維持管理、セキュリティ対策も自分で行わないといけません。ハイスペックな分、費用も高額です。
それは大変ですね。私には難しいかも。
もし、専用サーバーを使いたいけど、専門的な知識がないのなら、マネージドプランという方法もあります。
マネージドプランって何ですか?
1台のサーバーを専用に使うことは同じですが、設定や管理、運用は業者が行います。
マネージドプランを建物に例えてみます。
マネージドプランは、一軒家の借家のイメージです。家を建てる時に間取りの自由な変更や、改装などはできません。
すでに家が建っている状態では、すぐに入居できてルールも少なく、自由な生活が可能です。ただし、家賃は高額です。
専用サーバーは一戸建て住宅、マネージドプランは、一軒家の借家のイメージですね。自由に暮らせるのは良いのですが、家賃が高額なのは辛いです。
専用サーバーでできること
サーバーを丸ごと使えるので、OSやアプリケーションの自由な設定が可能です。そのためハイスペックな機能の利用も可能で、他のユーザーの影響を受けることはありません。
管理者権限(root権限)が与えられるので、いつでもソフトウエアの変更が可能です。メモリなどの容量の制限はほとんどないので、突発的な大量のアクセスがあった場合でも対応できるのもメリットです。マネージドプランの場合は、root権限は与えられないので、設定の変更などは自分では行えません。
サーバーのOSやCPUは自由に設定できるので、ハイスペックなサーバー運用が可能になります。サーバーを1台丸ごと使えるので、サーバーの機能を全て一人で使えてしまうのです。
サーバーの業者のセキュリティに加えて、自分の設定するOSでの対策も可能となります。専用サーバーの場合、大量の顧客管理などにも使用できるので、顧客情報が洩れることがないように、より強固なセキュリティ対策が必要となります。より安全にサーバーを使いたい方には、専用サーバーは最適です。
専用サーバーは、共有サーバーの費用に比べて高額です。共有サーバーが月額数百円から数千円なのに対して、専用サーバーの月額費用は数万円を要することもあります。さらに初期費用も数万円から数十万円も必要となることもあり、選ぶCPUやストレージの種類によっても利用料金は大きく変わります。
専用サーバーの運用には専門的な知識が必要です。企業などの場合、専用サーバーのスペックが欲しいが、サーバーのメンテナンス担当者がいないと、サーバーの運用ができないという場合もあります。
マネージドプランでは、サーバーのメンテナンスや管理、セキュリティなども業者が行ってくれるため、専門的な知識を要せず、専用サーバーの運用が可能となるのです。
VPSとは
VPSはvirtual private serverの略で、日本語にすると、仮想専用サーバーとなります。
一台のサーバーに対して、仮想のサーバー領域を作り、ユーザーごとに割り当てられるので、専用サーバーに近い運用が可能となります。
サーバーにインストールされているOS(ホストOS)とは別のOS(ゲストOS)がインストールされていて、ユーザーが管理権限(root権限)を持ち、自由な変更が可能です。
自分の好みのOSやアプリケーションのインストールが可能で、CPUやメモリは各ユーザーに割り当てられるので、他のユーザーの影響を受けづらくなります。
ただしサーバーは1台なので、容量には制限があるのは覚えておきましょう。
VPS?サーバー1台を複数人で使用するのに、共有サーバーとは違うのですか?
VPSは、サーバーは1台ですが、仮想のサーバーを作り、それぞれのユーザーに割り当てられるので、全てを共有して自由度も低い共有サーバーとは違います。VPSを建物に例えてみますね。
VPSを建物に例えると、分譲マンションです。部屋のレイアウトの自由な変更が可能なのですが、エントランスや廊下などの共有部分は変更できません。分譲マンションは、基本的な生活は他の人とは別なので、影響を受けづらくなります。
分譲マンションなんですね!便利で快適だけど、ルールがちゃんとあって、共有部分の変更はできないということですね。共有サーバーよりも自由度が上がるのは魅力的ですね。
そうですね。一戸建てはお金がかかるけど、自由に使いたいという方には最適ですね。
VPSでできること
ディスクI/Oやネットワークは共有ですが、CPUやメモリは各ユーザーに割り当てられます。Root権限が与えられるので、OSやアプリケーションの自由な操作が可能です。OSの設定も自分での変更が可能なので、ハイスペックなサーバー環境も実現出来てしまいます。
※ディスクI/Oとは、ハードディスクなどのストレージに対する書き込み操作のことです。
VPSは1台のサーバーに仮想のサーバーを作り、それぞれゲストOSが割り当てられます。
基本的に、ゲストOS同士は干渉することはないので、他のユーザーの影響を受けづらい仕組みです。
そのため、同じサーバー内の他のサイトのアクセスが大量にある場合などでも、自サイトの表示速度が遅くなる、サーバーがダウンするなどの影響を受けることは、ほとんどありません。
専用サーバーは1台のサーバーの機能を丸ごと使えてしまうので、大量のアクセスなどにも強く、ハイスペックなサーバー運用が可能となります。
しかしVPSの場合、1台のサーバーを仮想で振り分けているので、1台丸ごとの機能を使えるわけではありません。
もしも共有しているサーバーの部分に不具合が起こった場合は、そのサーバーを使っているユーザー全員が影響を受けることになります。
専用サーバーが月額数万円の費用がかかるのに対して、VPSでは数千円程度の費用で済ませられます。
VPSは、サーバーやネットワークを複数人で共有するので、専用サーバーよりも比較的低額で運用できるのもメリットです。
物理的サーバーに関する設定や管理は不要ですが、仮想サーバーの部分の設定は、基本的に自分で行う必要があります。
維持・管理やセキュリティ対策も自身で行う必要があるので、サーバーに関する専門的な知識が必要になります。
クラウドサーバーとは
クラウドサーバーは近年人気が高まっている、クラウド上に存在するサービスです。
もちろん物理的なサーバーの管理は業者が行い、ネットワーク上でサーバーが使えるというものです。
VPSとの違いは、CPUやメモリ、ストレージなどの容量の拡張も可能なことです。
クラウドサーバーは、サービス利用時の自由度によって3つのカテゴリに分類されます。
SaaS | PaaS | IaaS | |
---|---|---|---|
変更可能箇所 | コンテンツのみ | アプリケーションのみ |
|
この中で、レンタルサーバー業者のクラウドサーバーは、IaaSにあたります。
クラウドサーバーとVPSの違いがよくわかりません。
そうですね。クラウドサーバーとVPSは1台のサーバーに仮想のサーバーを作るという点ではよく似ていますが、自由度に違いがあります。クラウドサーバーは、1つの契約で領域の増減が自由です。わかりやすいように建物に例えてみますね。
クラウドサーバーは、マンションの1フロアを全て貸切るというイメージです。
VPSの場合、分譲マンションのイメージなので、一度部屋を購入すると内装の変更は可能ですが、広さは変えられません。
それがクラウドサーバーでは、1フロアを貸切ることに相当するので、何部屋でも自由に利用出来るうえ、内装も自由に変更出来てしまうということです。
少し難しくなりますが、広さの拡大は無限にできるので、マンションの広さよりも広い部屋が持てることになります。ただし、部屋を広げた分だけ費用はかかり、上限もありません。
1フロアを自由に使える上に、フロアの広さも変えられるんですね。
そうですね。自由に広さが変えられるフロアのイメージですね。その分、管理も大変になります。
クラウドサーバーでできること
クラウドサーバーは領域の増減を、物理サーバーの容量を超えて無限に拡大できるようになっています。
VPSでは、容量の増減はできず、物理サーバーの領域は超えられません。リアルタイムに、領域が拡大・縮小されるので、サイトのアクセスに応じた柔軟な対応が実現します。
CPUやメモリの拡張が可能なので、ハイスペックなサーバーの構築も可能です。
1日単位、1時間単位の料金設定があることが多く、必要な時間だけを使うようにして、費用を抑えるということも可能です。
反対に、使用した分だけ費用がかかるので、思わぬ高額な費用となってしまうこともあります。
CPUやメモリ、サーバーを増やした分、それだけ費用が上がり、結果的にVPSよりも高額な費用になった…というケースもありえます。
セキュリティが甘い状態で運用してしまうと、サーバーを乗っ取られて勝手に使用され、数億円の請求を受けるという被害の報告もあります。
クラウドサーバーの場合、自分の領域の中で複数のサーバーが作れるようになっています。
サーバーの中には負荷分散装置やルーターの設置、ローカルネットワークなども仮想化されていて、自由に組み合わせて使えるというのもメリットです。
VPSよりも管理は難しく、サーバーに関する高度に専門的な知識が必要になります。
複数台のサーバーを作ることも可能なので、一般的なサーバーの管理もより複雑になります。
4種類のサーバーの違いは、わかりましたか?
はい。よくわかりました。私は、副業ブログをやってみたいので、共有サーバーがいいのかなと思いました。
でも将来に備えて、ほかのサーバーも検討してみたいのですが・・・。それぞれのサーバーの費用の違いはどれくらいでしょうか?
それでは、それぞれのサーバーの相場価格を比較してみましょう。
サーバーサービス毎の価格比較
4種類のサーバーの価格の相場を比較してみました。
最初に価格を簡単に比較すると、このようになります。
共有サーバー < VPS< クラウドサーバー < 専用サーバー
ただしクラウドサーバーの場合、内容によって価格は変動します。
初期費用 | 1,048円 |
---|---|
月額 | 524円 |
ディスク容量 | 100GB |
Webサーバー | nginx |
初期費用 | 1,500円 |
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月額 | 600円 |
ディスク容量 | 150GB(SSD) |
Webサーバー | Apache |
初期費用 | 1,500円※50%オフキャンペーンを実施中 |
---|---|
月額 | 690円 |
ディスク容量 | 20GB(SSD) |
Webサーバー | LightSpeed |
初期費用 | 125,400円 |
---|---|
月額 | 11,330円 |
ディスク容量 | 480GB*2(SSD) |
メモリ | 16GB |
CPU | XEON 4コア |
初期費用 | 88,000円 |
---|---|
月額 | 19,800円 |
ディスク容量 | 4TB (HDD) |
メモリ | 16GB |
CPU | XEON 4コア |
初期費用 | 無料 |
---|---|
月額 | 3,200円 |
ディスク容量 | 200GB (SSD) |
メモリ | 4GB |
CPU | 仮想4コア |
初期費用 | 4,000円 |
---|---|
月額 | 2,380円 |
ディスク容量 | 200GB (記憶装置は非公開) |
メモリ | 4GB |
CPU | 仮想4コアvCPU |
初期費用 | 無料 |
---|---|
月額 | 6,000円 |
ディスク容量 | 80GB (HDD) |
メモリ | 4GB |
CPU | 仮想4コアvCPU |
初期費用 | 無料 |
---|---|
月額 | 10,450円 ※20日以上利用した場合 |
ディスク容量 | 100GB (SSD) |
メモリ | 4GB |
CPU | 仮想4コアvCPU |
専用サーバーはとても高額で、個人的に使うには手が出せないです。VPSやクラウドサーバーだったら、個人でも使えそうですね。ただ、専門的な知識が必要なので、私には使いこなせないかもしれません。
そうですね。ブログやサイトをはじめて作る初心者の方には、使いやすい共有サーバーが良いですね。サイトを運営しながら、自分にあったサーバーに変更するのもアリです。
WEBサイトの開設には、欠かすことができないサーバーについて解説しました。
サーバーには4つの種類があり、それぞれ違いがあります。
最後にそれぞれのメリット・デメリットを簡単にまとめます。
共有サーバー | 専用サーバー | VPS | クラウドサーバー | |
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メリット |
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デメリット |
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WEBサイトの運営には、ある程度のサーバーの知識が必要です。4種類のサーバーの違い、メリットやデメリットを理解し、導入を検討しましょう。
サイトの種類によって、最適なサーバーはそれぞれ違います。自分が運営したいサイトに合わせて、より最適なサーバーを選びましょう。